2025年2月

【会員限定】豊高パスポート Knowledge For Passing vol.20『豊中高校合格のための数学力②直前期戦略編』

来春の高校受験で豊中高校合格を目指す中3生の皆さん、こんにちは!

Knowledge For Passing(合格への知見) vol.20は豊高合格のための数学力②(直前期戦略編)というテーマでお送りします。

 

10/5配信のKPFvol.4では「長期戦略編」として大問1(小問集合)の攻略法についてお伝えしました。今回は大問2(平面図形)、大問3(空間図形)の攻略についてお伝えします。

 

C問題受験者の合格平均点(vol.4で紹介済)が、ほぼ豊高合格に向けての目標点と考えてもらって差し支えないと思います。年度によってばらつきはあるものの、おおよそ50~55点(90点満点)といったところです。入試は、言うまでもなく「満点を取る」ものではなく「合格点を取る」ものですから、そのための取捨選択が重要になります。つまり、取るべき問題を確実に正解させ、捨てるべき問題に時間をかけないということです。

 

大問1の小問集合では、(1)~(3)の計算問題は全問正解させなければなりません。(4)~(7)の「関数の係数」,「整数問題」,「確率」,「データの活用」において2~3問の正解、(8)の「放物線と図形」で8点配点中の部分点4点までが確保できれば、大問1で30~35点程度は得点できるはずです。逆に大問1で20点前後の得点に留まってしまうと厳しくなると考えてください。

 

大問1で30~35点を確保できると、残り20~25点を大問2・大問3で得点していくという狙いになります。ここで、過去5年間の大問2・大問3の小問ごとの正答率を見てみましょう。

(※2021年度入試では、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、出題範囲の制限があったため割愛しています。)

 

2019[大問2平面図形] (1)73,(2)[証明]43,(3)①34%,(3)②23%

2020[大問2平面図形] (1)[証明]30,(2)①84%,(2)②20%,(2)③8%

2022[大問2平面図形] (1)91,(2)[証明]59,(3)①91%,(3)②21%

2023[大問2平面図形] (1)①83%,(1)②[証明]63,(2)①67%,(2)②22%

2024[大問2平面図形] (1)①83%,(1)②[証明]59%,(2)①64%,(2)②9%

 

2019[大問3空間図形] (1)①74%,(1)②75%,(1)③18%,(2)①67%,(2)②13%

2020[大問3空間図形] (1)①59%,(1)②32%,(1)③9%, (2)①39%,(2)②4%

2022[大問3空間図形] (1)①91%,(1)②65%,(1)③12%,(2)①74%,(2)②8%

2023[大問3空間図形] (1)①46%,(1)②7%, (1)③19%,(2)①42%,(2)②4%

2024[大問3空間図形] (1)①67%,(1)②85%, (1)③37%,(2)①73%,(2)②15%

 

見ていただいて分かる通り、大問2・大問3のいずれも、最終問題は正答率が非常に低い難問となっています。もちろん解法が思い浮かぶのであれば挑戦してもらって構いませんが、「解き方が思い浮かばない…」、「そもそも問題の意味がよくわからない…」というような内容であれば、勇気をもって捨ててもらっても構いません。逆に、各中問(中問とは「(1)」,「(2)」で始まる問題)の①の問題については、比較的正答率も高く、得点しやすい問題が並んでいる傾向にあります。大問2・大問3で各2問ずつの正解がとれれば20~25点の得点となります。また、大問2には、必ず全書きの証明問題が出題されます。こちらは、完全解答が難しかったとしても、書けそうなところまでは必ず記述するようにしましょう。配点は8点ですが、部分点を獲得できる可能性があります。1点でも多くとれるよう取り組みましょう。

 

では最後に、大問2・大問3の基本的な攻略法を紹介します。

 

[大問2:平面図形]

基本的な流れは、「相似」や「三平方の定理」を用いての、単純な線分の長さを求めさせる問題,あるいは「円周角の定理」や「平行線の錯角・同位角」などを用いての、単純な角度を求めさせる問題からスタートし、その後、全書きの相似証明を行い、その相似な図形を用いて線分の長さや図形の面積(もしくは面積比)を求めさせる問題に移っていく、というものになります。

キーポイントは相似探しということになります。条件を読んで、等しい角度についてはすぐに印をつけるようにしましょう。相似探し=等しい角探し、ですから。相似が見つかれば、対応する線分の長さを調べ、求める線分をxとおいて比例式をつくっていく形になります。対応するはずの線分の長さがわかっていなければ、また別の相似を探していく(あるいは直角三角形をつくって三平方の定理を用いる)という流れになります。先ほども述べたように、「相似が見つからない…」となった場合は、勇気をもって次に進む判断も必要です。

 

[大問3:空間図形]

空間図形の基本戦略は、「必要な平面を取り出して考える」ということに尽きます。空間図形が苦手な受験生のほとんどが、「必要な平面を取り出す」ことを苦手にしています。みなさんは、過去問を練習する中で、必要な平面を取り出して書くという訓練をしっかりと積んでください。コツは、長さを求めたい線分を含んでいる平面で立体を切断するということです。また、立体を真上から見たり、正面から見たりといった投影図的に捉えるという手法も有効です。実は中学1年生で学習した立体のいろいろな見方が重要になるんですね。とにかく「平面を取り出す」という訓練をしっかりと重ねることが重要です。

また、大阪C問題の大問3では斜断柱が頻繁に出題されます。「斜断柱」とは、柱体をある平面で斜めに切断して得られる立体のことです。この斜断柱の体積は、「底面積×高さの平均」で求めることができます。最終問題に出題される傾向にありますので、難しければ「捨て」で構いませんが、底面積がどこか、高さがどこにあたるかと考える練習はしておく方が良いかもしれません。

 

さて、数学C問題の攻略について説明を行ってきました。私立入試も終了し、公立入試の過去問演習に取り掛かる時期になっていると思います。まずは時間を計って問題を解く。取るべき問題と捨てるべき問題の取捨選択を意識する。復習の時間では解けなかった問題を、理解できるまで解説を読む,学校や塾の先生に質問する、その上で時間をあけてもう一度自力で解けるかどうかを確認する、といった練習をしっかりと積んでいくようにしてください。