今年の社会と解いてみて…
別にそれ専門という訳ではないのですが、特訓で毎年社会を担当しているせいか、
前川=社会というイメージを持たれています。
今年の社会はどうでした?と聞かれる前に、まずは自分でしっかりといてみようと
今朝、生徒からもらったコピーで50分間、本気で解きました。(@近所のミスド)
(実際の所要時間は35分くらいです。)
*今回のブログに書いていることは、試験実施翌日の時点での私個人の感想です。
今後、他の講師とも議論を交わしていく中で、ガラッと意見も変わるかもしれませんが、
ひとまず、解きたてホヤホヤの感覚をお伝えしたいと思い、綴っています。
Ⅰ 地理
知識より国語力・分析力の傾向、年々強まっています。
特訓でも「知識より、知識の使い方を!」
仁川校では、「できるだけ早く、1問1答を卒業!」
と言い続けてきました。この方針に間違いはなかったと言えます。
ただ、今後はそれだけでいいのか…
1-(2)《最小限の知識+資料読み取り》
問うていることの本質は変わりません。
降水量と気温から地域を判別するときの基本は、
①南半球は日本と逆。②赤道中心に熱→乾→温→冷→寒
③内陸は乾燥、沿岸は多雨 です。
今回は①・②だけで解ける問題でした。
ただし、中学生にとって見慣れた雨温図でなく、しかも
(意図的?)わかりにくいグラフでした…。
1-(5)《知識不要、国語力勝負》
毎年何台か出題される、前提知識不要・読解力のみを問う問題。
Yの国の説明。「総発電量、二酸化炭素排出量ともに増加している国の中で…」を読んだ時点で、
まず表3のグラフからドイツとイギリスを消さねばなりません。ここで立ち止まらなければ、答えは変わってしまいます。一文一文丁寧に読む癖がついていないと…
1-(6)《最小限の知識、あとは応用力を問うパズル》
一言で言えば、パズルでした。
必要な知識は、
・日本にとって中国は最大の貿易相手国
・日本はアメリカに対して輸出超過(昔から)だけです。
2-(3)《統計から都道府県を識別する問題①》
同じ地域内の都道府県でなく、属する地域がバラバラ(兵庫、長野、山梨)の都道府県になっていたのは、
昨年までと違いますが、解く上で何ら影響はありません。
①果実の割合圧倒的→山梨、②野菜と果実、どっちもさかん→長野、でいけると思います。
2-(4)《統計から都道府県を識別する問題②》
「2題連続で出すんや…。」「大阪・三重・石川・静岡って、なんでこの組み合わせ…」
いろいろ思いましたが、個人的にはこれはちょっと難しかったと思います。
もし特訓で解説するならば、
「石川と大阪は鉄板で当てたいところやけど、三重と静岡で間違ったんなら、仕方ないわ!」
と言うと思います。
【思ったこと】
新中3生にこれ解かせたら、
「社会は覚えるだけやから」とかいう間違った思い込み、一瞬で捨てるやろうなー。
知識プラス、どれだけ読解力・分析力・国語力が問われているか…
百聞は一見に如かず、じゃないけど、校舎でのセミナーのときに地理だけでも20分くらい時間とって
アタックさせてみようかな。
Ⅱ 歴史
形式は若干変化も見られましたが、問うていることの本質はほとんど変わりませんでした。
志望校別特訓でも、
近世までは
「人物・できごとを聞いたときに、何時代か即答できる?」
「兵庫県の4択の間違いの選択肢のほとんどは、そもそも時代が違う!」
近現代は、
「とにかく年号!年号!年号!」
この方針は間違っていなかったと思います。
ただ、近世までと、近現代に1題ずつ、
「そろそろこういう問題も入れていくから、来年以降の受験生は対策よろしくね!」
というメッセージ?ともとれる問題がありました。(勘繰りすぎかもしれませんが)
1-(2)-③《芭蕉の俳句に出てくる地名を見抜き→さらに適切な説明を選ぶ》
荒海や 【 】によこたふ 天の川
【 】の地名が分かりさえすれば、選択肢自体は簡単な問題。
「荒海や…」の俳句は、学校教科書の隅っこに載っています。確かに。
つまり、「教科書の隅の隅まで読んでおきなさいよ…」ということ?
でも、「ほら、新中3生、やっぱり学校教科書の読み込みは大事やで!」
って、単純に言いたくはないです。(もちろん、大事なんですが。)
ちょっと待ってください…と。
今回の選択肢に関して言えば、
京都・加賀・安土・佐渡の中で「荒海」なんて言ったら、佐渡しかありません。
推理力で突破できる問題じゃないの?むしろそこを試しているんじゃ…?
と思ったりもします。
2-(1) 《地租改正の資料問題》
地租改正の資料問題(地券)はいくらでも見たことがありますが、
「100分の2ケ半」が意味するところは? という、この問い方は意外でした。
もちろん、「100分の2ケ半」→2.5%→つまり税率の改正のことね!と見抜いた受験生も多いと思いますが、
例年近現代史は時系列や年号を問う問題ばっかりだったので、ちょっと心してかからなければいけないですね。
【思ったこと】
思考力・判断力・読解力・分析力etc、
もちろん昨年までの時点でも、地理・公民はその要素がふんだんに盛り込まれていましたが、
歴史もだんだんそうなっていくのかな…。
次の受験生にとっては迷惑な話かもしれませんが、
個人的には「これはますます面白くなってくるな…」と思っています。
志望校別特訓でも、上記に述べたような力に重点を置いた解説をしています。
暗記は家でもできますが、
いかに「すぐに忘れてしまうような詰め込み」から脱却するか?
いかに最小限の知識を最大に生かすか?を伝えるのが志望校別特訓だと思っています。
大げさに言えば、「前川の社会を受けていないと、こんな視点で解けない!」
と言えるものをいくつ与えるかが勝負だと思っています。まだまだ発展途上ですが。
Ⅲ 公民
知識を問う問題、グラフを正確に読み取る問題、一般常識を問うているような問題…
バランスよく色々あってまあ、公民はあまり昨年までと変わらんかな…という感じでした。
最後のページを開くまでは!
あまり、普段「何がでるか?」予想はしないのですが、
(これは考え方いろいろあると思いますが、私は「何が出ると思いますか?」と聞かれても、「分からん!」と言い切ります。単元を当てたとしても、出題の仕方まで分からなければ結局意味がありません。)
ただ、「円高・円安」は妙にイヤーな予感がしていたので、
ミニ解説動画を送信していました。海外旅行の際の両替の話もその動画の中でしていました。
(「当てた!」というより「よかった…」という感じです。)
最後のページのニュータウンの問題がまるまる、知識不要の読解問題でした。
公民も年々知識の必要性が薄まってきていますが、とうとうここまで…という感じすらします。
仁川校では2学期に「公民全単元サポート」ということで、中3生大集結で公民の授業(演習なし、オール説明)を昨年度・今年度とやってきましたが、同じ時間を使うなら他にやるべきことがあるかもしれない…
変に伝統や恒例行事にせず、しなやかに、止めるものを止める、変えるものは変えていくべきなのか…
とかいろいろ考えたりもします。これから考え抜きます。
もちろん、解いて分析することは、スタート地点です。
それを新中3生、またそれが下の学年に伝わらなければ意味がありません。
さあ、来週からの教室での授業でどんなことを語ろうか、
終礼で何を仕掛けてみようか、アイデアは膨らむばかりです。
試験後、中3生がたくさん報告に来てくれましたが、私は授業の配信中だったので、
言いたいことは全部、ホワイトボードに書いておいてと伝えておきました。
普段は商売道具に触らせませんが、昨日だけは特別です。