受験生に毎年伝えること
開進館西宮北口校の西森です。
さて、国私立高校の受験の前日となります。専願で受験する人にとりましては、決戦前夜というところでしょうし、併願で受験する人にとりましては、準備体操といった感じでしょう。
受験のコツを簡単に言うと「平常心」です。全豪OPの大坂選手はそのことを私たちに教えてくれました。詳細は言わずもがなですね。
問題が解けた場合は「あ~。みんなも解けているだろうな」と思えばいいし、問題が解けなかった場合は「あ~。みんなも解けなかっただろうな」と思えばかまいません。それが客観的事実かどうかは関係なく、平常心を保つための技法です。
さて、この仕事に従事しまして、二十有余年受験前日には必ずお子様に話をすることがあります。長文になるかと思いますが、ご興味ございましたらご一読くださいませ。
私も今から約25年ほど前に大学受験をいたしました。(開進館では,先生の個人情報は伝えないことになっておりますので、あくまでも仮年齢です。(笑))センター試験が思いのほかうまくいかず(8割弱)、失意の下国立の2次試験を受験しました。
3月の合格発表ですが、私の母が大学に一緒に見に行きました。もちろんネットで発表などということはなく,校舎の前の掲示板に小さい紙が貼られるだけものです。私の母は,本当に子ども思いで、合格発表を本当に待ち遠しかったようです。もう少し言うと、私の2人の兄が、母から言わせれば納得のいかない大学へ進学したこともあり、私への期待が大きいということもありました。
結果は合格でした。よほど不安だったせいか、発表の掲示板に近づくことすらできず、私の顔色で判断した次第です。
さて、私の母ですが、センター試験の1か月前に交通事故にあっていました。骨折をして,松葉づえをついていました。さらに家庭環境も複雑で、私のセンター試験の前日、アルコール依存症の父(当時はそのような概念がありませんでした)が兄と殴り合いをするけんかをする始末でした。私は、まあいつものことで特に気にしていませんでしたが、母からすれば心身ともに疲弊しきっていた状況だったと思います。
後日母から聞かされるのですが、そのような状況で母は、1月1日から国立大学合格発表の3月中旬まで、雨の日も雪の日も地震の日も毎日欠かさず近くの神社にお参りに行っていました。骨折して松葉杖をしている状況で、しかもこの年は大阪と言えども雪が降り積もっていましたので、大変だったかと思います。
私が30歳になるまで,「母は大げさだから。そんな毎日おがまなくてもいいのに」と思っていました。
30歳の1月に私は鳴尾校の横の道で掃除をしておりました。この日も雪の降る寒いときでした。ちらっと見ると、松葉杖をついた中学受験をされる保護者の方が通られました。
「どうも,こんにちは。足を怪我されているようですが,どちらにいらっしゃるのですか」
「近くの八幡さんです。毎日お参りに行っています。」
私は自分の母親と同じことをされていると知り、私の母親だけでなく,すべての母親が子どもに対して深い想いや愛情を持っていることに気づき、母親の想いを率直に受け入れられるようになりました。母が大げさであると思っていたことを大いに恥じました。
毎年中3生にはこの話を最後の最後にします。多くの中3生はこの話をぽかんと聞いています。おそらく理解できないのでしょう。私はもちろんそれを責めません。私が母親の想いに気づいたのが30歳でしたから。
しかし、これだけは伝えます。
「お母さんは、みんなのことを心配している。だけど、それに対する感謝の想いを伝えるのも恥ずかしいだろう。だったら、受験日当日の朝、せめて「精一杯頑張ってきます。」とだけでも伝えて家を出なさい」
公立普通科受験直前の授業で、このお話をみなさまにいたします。
受験生の皆さん、よい結果を待っております。
開進館西宮北口校 西森 義洋
TEL 0798-63-0090